解剖学、生理学III(消化器系)

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消化器系(消化管の基本構造)

  • 消化管の壁は、内側から、1.粘膜2.筋層3.漿膜または4.外膜の3層から構成される

粘膜

  • 粘膜は、1.粘膜上皮2.粘膜固有層3.粘膜筋板(、4.粘膜下組織)からなる
  • (1.)は消化管の部位によって上皮組織の種類が異なり、口腔から食道、肛門など機械的刺激の強いところでは5.重層扁平上皮、分泌や吸収の行われる胃や腸では6.単層円柱上皮でできている
  • (2.)は繊細な7.膠原線維が密に織りなす結合組織の層である
  • (4.)は太い8.膠原線維が粗く織りなす結合組織の層である
  • (3.)は(2.)と(4.)を互いに隔てる
  • 口腔には粘膜筋板がなく、粘膜下組織の発達が悪く、粘膜固有層と粘膜下組織の境界もはっきりしない
  • 小腸および大腸の粘膜上皮内には9.杯細胞が多数散在し、粘液を分泌する
  • (9.)は臓器によって存在する位置が異なり、胃腺や腸腺は10.粘膜固有層内に、食道腺や十二指腸腺は11.粘膜下組織に位置する
  • 粘膜固有層には血管のほかに豊富なリンパ管網が形成され、12.孤立リンパ小節というリンパ小節が発達する
  • 回腸では多数のリンパ小節が集まり13.集合リンパ小節(パイエル板)を形成する

筋層

  • 筋層は口腔から食道上部までは1.骨格筋で、食道下部から肛門までは2.平滑筋でつくられている
  • 食道以下の消化管の筋線維の走行は、内層では3.輪走筋、外層では4.縦走筋を構成する
  • 消化管の内層と外層の筋肉の収縮・弛緩により一定の蠕動運動や分節運動などを行うが、その運動は両筋層の間にある5.アウエルバッハの神経叢(筋層間神経叢)により調節される

漿膜(外膜)

  • 空腸や回腸のように腹腔の中にあり自由に動く消化管は、単層扁平上皮よりなる1.漿膜におおわれ、滑らかで光沢を有し常に表面が濡れている
  • 食道のように漿膜をもたないところでは(固定されている消化管)、筋層のまわりには2.外膜という疎性結合組織がある

消化器系(口腔)

  • 口腔は、上唇と下唇がつくる1.口裂より入り、後方で咽頭に移行する
  • (1.)の外側の隅を2.口角という
  • 口唇の外側は皮膚で、内側は3.粘膜でおおわれる
  • 皮膚と(3.)の移行部は4.口唇縁と呼ばれ、赤く見える、これは5.メラニン色素が少なく、深層の血管の血液が透けて見えるためである
  • 口唇および頬の粘膜と歯列弓との間を6.口腔前庭といい、歯列弓より後方を7.固有口腔という
  • 血液中の酸素が不足し炭酸ガスが増えると、口唇縁は赤みを失い暗紫色に見えるようになる、これを8.チアノーゼという、貧血の場合は赤みが薄くなる
  • 上唇の中央に立てに走る浅い溝を9.人中という
  • 胎児期に口の癒合がうまくいかないと10.口唇裂(兎唇)ができる

口蓋・軟口蓋

  • 口蓋の前3分の2は上顎骨と口蓋骨でできた骨の支柱を持つ1.硬口蓋、後ろ3分の1は筋肉とそれをおおう粘膜でできた2.軟口蓋よりなる
  • 口蓋の中央には前後に走る高まりがあり、3.口蓋縫線という
  • 軟口蓋の後部中央に、上方から4.口蓋垂がぶら下がる
  • 嚥下運動を行うときに、軟口蓋は挙上して5.鼻腔6.咽頭のつながりを遮断し、飲食物が鼻腔に入らないようにする
  • (4.)が胎児期にうまく癒合がいかないと7.口蓋裂ができ、哺乳障害や言語障害を起こす

口峡と扁桃

  • 口蓋垂の両脇から外下方にアーチ状に粘膜の二重のヒダが伸びる(手前から口蓋舌弓、口蓋咽頭弓)、このヒダの間に表面がでこぼこで梅干の種を連想させる1.口蓋扁桃のふくらみが見られる
  • 口蓋垂から伸びるアーチと舌根によって囲まれた空間を2.口峡という
  • 感冒などで扁桃の腫脹がひどくなり口峡が狭くなって、絞扼感(こうやくかん)が生まれると3.アンギーナ(口峡炎)と診断される

  • 舌は前方の大部分を占める1.舌体と後方3分の1の2.舌根に分けられ、3.分界溝というV字形の溝が両者の境界をなす
  • 舌体の上面は4.舌背、下面は舌下面、前端を5.舌尖という

<<舌乳頭>>

  • 舌背粘膜にある無数の突起のことを1.舌乳頭と呼び、次の4種類に区別される
    2.糸状乳頭:舌背に密生し、先端にある上皮の角化により舌全体が白っぽく見える
    3.茸状乳頭:糸状乳頭の間に散在し、大きく丸みを帯びる、上皮が角化しないので桃赤色を呈する
    4.有郭乳頭:舌根部に近く分界溝の前に1列に並ぶ8~12個の大きな乳頭で、個々の乳頭は深い溝で囲まれる
    5.葉状乳頭:舌体の後部側面にあって、垂直に走る粘膜のヒダ、ヒトでは発達が悪い
  • 有郭乳頭と葉状乳頭の側面の上皮には6.味蕾という花の蕾に似た構造があり、7.味孔という小さな孔で口腔と交通する
  • 味蕾は味覚の8.受容装置で、味覚を伝える神経は、舌の前3分の2は9.顔面神経であり、後3分の1は10.舌咽神経である
  • 舌背の灰白色または黄白色に見えるものを11.舌苔という
  • 舌乳頭が萎縮すると、舌は赤くつるつるして表面が滑らかになり、食べ物がしみるようになる、これは12.舌炎(萎縮性舌炎)と呼ばる

<<舌扁桃>>

  • 舌根部の粘膜に有る、乳頭ではない表面の多数のイボ状の隆起は口蓋扁桃と同様にリンパ組織でできており1.舌扁桃と呼ばれる

<<舌の筋>>

  • 舌の実質は、縦・横・上下方向に交錯して走る1.横紋筋線維束よりなり、舌の形を微妙に変えることができる
  • 舌筋の運動を支配する神経は2.舌下神経である
  • 舌下神経が麻痺すると、舌を出すとき舌は3.麻痺側に曲がる
  • 仰向けに寝たときに舌根が咽頭に落ち込み気道を閉鎖することを4.舌根沈下と呼ぶ

  • 歯は、歯槽骨(上顎骨の1.歯槽突起と下顎骨の2.歯槽部)に植立する
  • 歯槽骨は3.歯肉と歯槽粘膜におおわれる
  • 個々の歯は歯槽骨の先端に並ぶ4.歯槽という穴に植えられる(釘植)
  • 歯槽に埋まる部分を5.歯根、外部に露出している部分を6.歯冠という
  • (5.)と(6.)の移行部を7.歯頚といい、粘膜でできた8.歯肉でおおわれる

<<歯冠部>>

  • 歯の主体は1.ゾウゲ質という特殊な硬組織でつくられ、歯冠ではこれに厚い2.エナメル質の層がかぶさる
  • エナメル質はあらゆる組織の中で最も硬く、そのほとんどがカルシウムを含む3.無機質である
  • ゾウゲ質の内側には4.歯髄腔という腔があり、5.歯髄という柔らかい結合組織で満たされ、歯根の先端に開く6.歯根管から血管や神経が入る
  • 歯髄とゾウゲ質の境界には7.ゾウゲ芽細胞が1列に並び、その先端から伸びる8.細胞質突起が、ゾウゲ質を内側から外側に向かって走る無数の9.ゾウゲ細管の中に入る
  • 10.歯垢には多種多量の細菌が含まれ、食物残滓に含まれる糖分を栄養に増殖し乳酸を出し、歯垢の酸性が高くなると歯の組織が侵食され11.虫歯となる
  • 歯垢に唾液の無機塩類が沈着すると12.歯石となる

<<歯根部>>

  • 歯根部のゾウゲ質は1.セメント質という特殊な硬組織の薄い層におおわれる
  • 歯槽とセメント質は2.歯根膜という線維性の結合組織によって結合される
  • 歯根膜と付近の歯肉・セメント質・歯槽骨をまとめて3.歯周組織という
  • 歯肉炎、歯周炎と病変が進むと歯周組織は破壊されて歯は動揺し、ついには抜けてしまう、これを4.歯槽膿漏といい、中年以降で歯を失う主な原因となる

<<乳歯と永久歯>>

  • 生後、はじめて生える歯を1.乳歯、その歯が漸次脱落し2.永久歯に入れ替わる
  • 大臼歯に相当する乳歯はなく、6歳くらいで萌出する
  • 第3大臼歯を3.知歯という

<<歯の形>>

歯の名称歯の概観歯根の特徴
1.切歯大工の使う「ノミ」のような四角形の歯冠を持つ単根、円錐形
2.犬歯最長の歯、歯冠は牙状単一で長く円錐形
3.小臼歯歯冠の咬合面に、頬側と舌側に2つの高まりを持つ通常単根~2根
4.大臼歯最も大型、歯冠の咬合面は十字型の溝で4~5つの高まりがつくられる2~3本に分岐

唾液腺

唾液腺

  • 口腔には唾液を分泌する3つの大きな1.唾液腺が付属する
  • 2.耳下腺:最大の唾液腺、外耳道の前方で頬骨から下方に広がる三角形をした腺で、その頂は下顎角に達する、サラサラとした唾液を分泌する3.漿液腺である
  • (2.)の分泌物を導く管を4.耳下腺管といい、腺体の前上部より出て咬筋の外側面を横に走り、上顎の第5.大臼歯に面する頬粘膜を貫き6.口腔前庭に開く
  • 耳下腺は流行性耳下炎(おたふくかぜ)で大きく腫れる
  • 7.顎下腺8.舌下腺は、ともに梅の実大ほどの大きさで、導管は9.舌下小丘に開く
  • (8.)の一部は10.舌下ヒダにも開口する
  • (7.)、(8.)とも混合腺で11.漿液分泌細胞と12.粘液分泌細胞が混在する

消化器系(咽頭)

  • 咽頭は1.頭蓋底に始まり、頚椎のすぐ前を漏斗状に細くなって下がり、食道につながる横紋筋2.咽頭筋)でできた袋である、その長さは約12cmであり、前面には後鼻孔、3.口峡、喉頭口が開く

咽頭の区分

  • 咽頭は1.鼻部2.口部3.喉頭部の3部に分けられる
  • 鼻部の天井の粘膜は表面に凹凸が見られ、4.咽頭扁桃というリンパ組織がある
  • 鼻部の左右には耳管の開口部があり、鼓室に通じており、この開口部を取り巻く5.耳管扁桃というリンパ組織がある
  • 咽頭は消化器とともに呼吸器にも属する
  • 嚥下運動は次のように連動して行われる
    1.軟口蓋の後縁が後上方に挙上され、咽頭と鼻腔が遮断される
    2.舌根が上昇して口腔と咽頭も遮断される
    3.気管に入らないように、喉頭軟骨を持ち上げ6.喉頭蓋(軟骨)が喉頭への入り口をふさぐ
    4.咽頭の壁を包む咽頭筋が収縮して内容物を食道へ送る
  • 咽頭部に食物や水分が到達すると、反射性に嚥下運動が誘発される、これを7.嚥下反射という、複雑な嚥下運動は瞬時に行われ、中断された呼吸は元に戻る

扁桃

  • 扁桃では粘膜の落ち込みがあり、粘膜下に多数の1.リンパ小節が並ぶ
  • 口蓋扁桃、舌扁桃、咽頭扁桃、耳管扁桃は食物や空気の入り口を取り囲むような位置に配列していることから2.ワルダイエルの咽頭輪と呼ばれ、消化器と呼吸器の入り口を守る関所をなして感染防止に役立っている
  • 細菌やウイルスが扁桃に達すると炎症が起こり、3.扁桃腺炎を起こす

消化器系(食道)

  • 食道は咽頭に続く部分で第1.頚椎の高さで始まり、脊柱の2.a(a:前/b:後ろ)、気管の3.b(a:前/b:後ろ)を通って胸腔に入る、さらに心臓の4.b(a:前/b:後ろ)を下降して、横隔膜の5.食道裂孔を貫き、胃に達する
  • 長さが約25cmの前後に6.圧平された管状器官である
  • 食べ物がつうかするときは内腔が拡張し、食道の筋層の7.蠕動運動により送られるので、横臥(おうが)していても食べたものを飲み込むことができる
  • 食道は生理的に狭窄を示す場所が3ヶ所あり、8.輪状軟骨の後ろ、9.大動脈弓との交叉、10.食道裂孔である
  • 肝硬変症のときには食道下部の内壁に静脈瘤ができ、それが破れて大出血を招くことがある

消化器系(胃)

胃

  • 胃は消化管の中では最も拡張した部分で、その容量は1.1~1.5リットルある
  • 入り口は2.噴門で、(2.)を入ると胃は大きく3.b(a:右/b:左)にふくれ、その天井はドーム状を呈し4.胃底という
  • 十二指腸への出口は5.幽門で、幽門の手前3cmほどの部分は形が管状で、内面の粘膜ヒダが互いに平衡して走っている、この部分を6.幽門前庭または7.幽門部と呼ぶ
  • 胃底部と幽門部を除いた中央全体を8.胃体という
  • C字形に左に湾曲する胃の外側を9.大弯、内側を10.小弯という
  • 小弯の一部に急角度に曲がる部分が見られ、11.角切痕と呼ばれる

胃間膜

  • 胃の前面をおおう腹膜と、後面をおおう腹膜が小湾側で合して1.小網となり、肝臓に達する
  • 大弯側で胃の前後2枚の腹膜は合して2.大網となる
  • (2.)は横行結腸に付着し、さらに横行結腸間膜に癒合しながら3.後腹壁に終わる
  • 胃は、肝臓と腹壁に、2枚の間膜でハンモックのようにぶら下がっているので移動性に富んでいる

胃の粘膜

  • 胃の粘膜内面には多数の粘膜ヒダが見られる
  • 粘膜の表面には1.胃小窩という胃液の出る2.胃腺の出口が無数に見られる
  • 胃の筋層は平滑筋よりなり、輪走筋と縦走筋のほかに、3.斜走する筋が最内層に見られる
  • 幽門では輪走筋が特に発達し厚くなり、4.幽門括約筋となる
  • 胃を通過する速さは食物の種類によって異なり、5.脂肪の多い食べ物は胃に留まる時間が長く、胃もたれの原因になる
  • 胃腺から分泌される塩酸は6.酸とも呼ばれ、その分泌が過度になると胸やけを起こす、特に胃液が7.食道に逆流すると胸やけを感じるといわれる
  • 8.消化性潰瘍は胃液が胃の粘膜を消化して粘膜が破壊されて発生する、胃潰瘍は中高年者に、十二指腸潰瘍は青壮年者に多く見られ、ストレスがその引き金になることが多い
  • 胃腺には2種類(3種類)あって、胃の大部分に分布する9.胃底腺と、幽門部にのみある10.幽門腺(と数は少ないが、噴門の近いところに噴門腺)がある
  • 胃底腺は長い管状の腺で、塩酸・ペプシン(ペプシノゲン)・粘液を分泌する11.壁細胞12.主細胞13.副細胞の細胞からできている
  • 幽門腺も管状の腺だが、長さは14.b(a:長く/b:短く)、粘液を分泌するただ1種類の腺細胞(副細胞)よりなる
  • 幽門腺の開口部付近には15.G細胞と呼ばれる内分泌細胞が散在し、16.ガストリンというホルモンを分泌し、17.胃液の分泌を促進する

消化器系(腹膜)

  • 腹膜は、1.漿膜という滑らかな表面を持つ単層扁平上皮よりなる、常に少量の漿液で湿って摩擦が軽減される
  • 腹壁と骨盤壁の内面は2.壁側腹膜でおおわれている
  • 腹腔にある胃・空腸・回腸・横行結腸・S状結腸・肝臓などの表面は3.臓側腹膜におおわれている
  • 腹膜におおわれている臓器は4.腹膜内臓器といわれ、腹壁との間を摩擦なく自由に動くことができる
  • 十二指腸・膵臓・上行結腸・下行結腸などは前面のみが腹膜におおわれ、後面は後腹壁にはりつく、また腎臓・副腎などは脂肪に包まれて後腹壁に埋まっており腹膜との関係は薄い、このように後腹壁に接着した臓器を5.腹膜後臓器と総称する

間膜

  • 壁側腹膜と臓側腹膜は一定の部分で互いに移行し連続しながら1.間膜を形成する、これは2枚の腹膜が合わさってできた部分であり、血管・リンパ管・神経などが走る

小網、大網

腹膜

  • 図の()書きの部分を回答してください
    1.大網2.小網3.横行結腸間膜4.肝冠状間膜5.腸間膜
  • 腹腔に炎症が起きると、大網は炎症部位を包み込み、炎症が広がるのを防ぐ

消化器系(小腸)

  • 小腸は1.a(a:右下/b:左下)腹部で大腸に移行する
  • 生体では全長はずっと2.b(a:長く/b:短く)なり3mほどであるといわれる
  • 小腸は3.十二指腸4.空腸5.回腸の3部に分けられる
  • 十二指腸は6.腸間膜を持たないが、空腸・回腸は(6.)を持ち移動性に富む

十二指腸

  • 十二指腸は胃の1.幽門に続き、指を横に12本並べた長さに相当する
  • 十二指腸はC字形に弯曲し、2.膵臓の頭部を囲み、後腹壁に固定される
  • 十二指腸の中程の左側の壁に3.大十二指腸乳頭(ファーター乳頭)の盛り上がりが見られる
  • (3.)の中央には膵液と胆汁の流れを調節する4.オッディ括約筋という平滑筋が5.総胆管と膵管とが合流した管の開口部を輪状に取り囲む

空腸と回腸

  • 十二指腸は第1.腰椎の左側で2.空腸に移行する
  • 十二指腸と空腸の移行部を3.十二指腸空腸曲という
  • 腹膜が壁側腹膜に移行するところを4.腸間膜根といい、第2腰椎の左側から右腸骨窩に斜走するわずか15cmの長さで、そこから長い空腸と回腸を包む腸間膜が扇を広げたように始まる

小腸の組織構造と機能

<<粘膜>>

  • 小腸の粘膜には内腔に突出し輪状に広がる1.輪状ヒダが発達する
  • (1.)は十二指腸では下方に行くほど2.a(a:増加/b:減少)し、空腸上部で最も発達し、回腸ではヒダは3.b(a:大きく/b:小さく)不規則となり、回腸の末端では消失する
  • 小腸の粘膜の表面には4.腸絨毛が密生する
  • (4.)は高さが0.5~1.2mmの細い指状の粘膜突起で、粘膜1mmあたり約30本、小腸全体で500万本以上となる
  • 腸絨毛と腸絨毛との間に小さな孔があいているが、これは管状をした5.腸腺の開口部にあたり、粘液を分泌する
  • 粘膜上皮の間には、つくった粘液を頂上に入れるワイングラスの形をした6.杯細胞が点在する
  • 十二指腸では7.十二指腸腺が発達し、アルカリ性でかつ粘液に富む分泌物を分泌して胃液の酸性を中和し、十二指腸の粘膜を保護する
  • 腸絨毛では、その中軸を1本の8.毛細リンパ管(中心リンパ管)が走り、その周囲を網状に毛細血管が取り囲む
  • 腸の粘膜上皮から吸収された糖質とタンパク質の分解産物は9.毛細血管をへて10.肝臓に運ばれるが、脂肪は11.リンパ管に入る
  • 脂肪を含むリンパはミルク様にみえることから12.乳びと呼ばれる
  • 腸の粘膜上皮の表層は長さ1マイクロメートル、太さ0.1マイクロメートルの13.微絨毛でおおわれており、その数は細胞1個あたり約600本になる
  • 腸表面で栄養素が吸収できる面積は、輪状ヒダで14.倍に、腸絨毛で15.10倍に、微絨毛で16.20倍に拡大され、小腸粘膜の表面積は200m(体表面積の約100倍)になる

<<粘膜固有層>>

  • 粘膜固有層ではごま粒大のリンパ小節が散在する、このリンパ小節を1.孤立リンパ小節という
  • リンパ小節が集まって小判状にみえる2.集合リンパ小節(パイエル版)は回腸下部に多い
  • 消化管に入ってきた異物はパイエル版をおおう粘膜上皮細胞の中の3.M細胞に捕らえられる
  • M細胞は入ってきた異物の中の抗原を抽出し、内側で待機するマクロファージとリンパ球に抗原提示を行う、パイエル版で増殖したリンパ球は形質細胞に分化し、抗原に対応する4.免疫グロブリンAを消化管内腔に分泌する

<<筋層>>

  • 小腸の筋層は1.平滑筋からなり、内層の筋は2.輪走し、外層の筋は3.縦走する
  • 一般に筋層は空腸のほうが回腸よりも発達が4.a(a:よい/b:わるい)
  • 空腸では内容物が速やかに輸送され、内腔が空であることが多いので、空腸とよばれる

消化器系(大腸)

  • 大腸は小腸に続く消化管で、小腸よりも太く、全長は1.6mで1.盲腸2.結腸3.直腸の3部に分けられる

盲腸

  • 回腸の末端は大腸の側壁に首を突っ込むように終わり、ここを1.回盲口という
  • (1.)では回腸の末端がヒダ状に大腸内腔に突出して2.回盲弁をつくり、大腸の内容が小腸へ逆流するのを防ぐ
  • (1.)より下方へ5~6cm進んで行き止まりとなる袋で、3.盲腸と呼ばれる
  • 盲腸下部の後内側壁から鉛筆くらいの太さで長さ6~7cmほど伸びる突起が4.虫垂である
  • (4.)でのリンパ球や抗体の産生が過敏となり炎症反応を引き起こすと5.虫垂炎となる

結腸

  • 結腸は大腸の大部分を占め、その走行によって1.上行結腸2.横行結腸3.下行結腸4.S状結腸の4部に分けられる

<<結腸の走行と間膜>>

  • 4部の結腸を長い順からならべると、1.横行結腸2.S状結腸3.下行結腸4.上行結腸である
  • 横行結腸は5.肝臓の下で左に屈曲し、胃の6.大弯に沿って右から左へと横走する長さ約50cmの部分である
  • 下行結腸は7.脾臓の下で下方に屈曲し、腹腔の左側をほぼ垂直に下降する長さ約25cmの部分である
  • S状結腸は8.左腸骨窩から9.仙骨の前をS状にカーブする長さ約45cmの部分で直腸に移行する
  • 横行結腸とS状結腸は腸間膜を持ち、上行結腸と下行結腸は間膜を持たず、後腹壁に半ば埋まる

<<結腸の外形的特長>>

  • 結腸は数cmおきに腸にヒモをまわして締め付けたようなくびれがあるところから結腸の名がある、このくびれによってつくられた結腸壁のふくらみを1.結腸膨起と呼ぶ
  • 結腸の表面にはまた、縦に走る幅1cmほどの2.結腸ヒモというすじが3本、等間隔に並ぶのが見られる
  • (2.)には腹膜に包まれた小さな3.腹膜垂という脂肪の袋がぶら下がる

直腸

  • 直腸は大腸の終わりの部で、S状結腸が1.仙骨の前面に達すると直腸となり(1.)の弯曲に沿って下降する
  • 尾骨の前に達すると急に後方にほぼ直角に屈曲し、外界に開く、その開口部が肛門である、直腸は約20cmの長さがある
  • 直腸の下部は内腔が広くなり2.直腸膨大部という
  • (2.)の下方で肛門に続くところは3.肛門管といわれ、長さは3cmほどある
  • (3.)の上方には内面に6~8本の縦走する柱状の高まりがある、これを4.肛門柱といい、肛門を閉じるときに役立っている

大腸の組織構造と機能

<<粘膜>>

  • 大腸には腸絨毛は見られず、1.腸腺には粘液を分泌する杯細胞が多数を占め、消化液の分泌は行われない
  • 大腸では消化作用はほとんどなく、2.の吸収が主である
  • 肛門は機械的刺激に強い3.重層扁平上皮におおわれる

<<筋層>>

  • 大腸の筋層は内輪層と外縦層の2層の平滑筋からできているが、結腸では外縦層が1ヶ所に集まり、1.結腸ヒモの形成にあずかる
  • 肛門では内輪筋が特に発達し、平滑筋でできた2.内肛門括約筋をつくる
  • (2.)のほかに、横紋筋でできた3.外肛門括約筋がある、(2.)は反射的に、(3.)は随意的に肛門を開閉する
  • S状結腸には食後12~15時間で到着し、24~72時間で排泄される
  • 胃に食物が入ると、盲腸からS状結腸、直腸まで腸の内容物を一挙に送り出す大腸の大蠕動が起こる、これを4.胃大腸反射という
  • 腸食後に便意を感じるのは朝食により大善導が強くなるためである

消化器系(肝臓)

肝臓

肝臓の位置と形状

  • 肝臓は人体の中で最大の腺で、重量は約1200gあり赤褐色をしている
  • 形は不規則な三角形で、位置は腹腔部の上部で1.a(a:右側/b:左側)に寄る
  • 肝臓の上面は2.横隔面、下面は3.臓側面という
  • (2.)は4.横隔膜にかたく付着し、横隔膜に沿って丸くなっている
  • (3.)は多くの内臓(胃・十二指腸・横行結腸・右の腎臓など)に接しているので凹凸に富み、また全体的には浅くくぼんでいる
  • 肝臓は5.肝鎌状間膜を境に、右葉と左葉に分かれ、薄くて小さいのは6.b(a:右葉/b:左葉)である、下面には、両葉に挟まれて小型の7.方形葉8.尾状葉がある
  • 肝臓の下面の中央には9.肝門があって10.固有肝動脈11.門脈12.肝管などが出入りする
  • 肝門の右前方で方形葉と右葉との間には13.胆嚢があり、肝臓の血液を集めた14.肝静脈は肝臓の後面に接する15.下大静脈に注ぐ

肝臓の組織構造

肝臓

<<肝小葉>>

  • 肝臓の実質は1.グリソン鞘という疎性結合組織により直径1mmあまりの六角形の2.肝小葉に分けられる
  • 肝臓をつくる3.細胞は肝小葉の中心を走る4.中心静脈に向かって列をつくって放射状に並んでいる、これを5.肝細胞索という
  • (5.)は立体的に見ると板状をなし、6.肝細胞板をつくっている
  • 固有肝動脈(肝動脈)は枝分かれをしてグリソン鞘の中で7.小葉間動脈となる、門脈は枝分かれをしてグリソン鞘の中で8.小葉間静脈となる
  • 小葉間動脈と小葉間静脈の血液は、ともに内腔の広い9.洞様毛細血管に入り、小葉の中心を走る中心静脈に注ぐ
  • 中心静脈は次第に集まり肝静脈となり、下大静脈に注ぐ
  • 胆汁は肝細胞と肝細胞の間隙がつながってできた10.毛細胆管に分泌され、11.肝細胞索に沿って小葉間に導かれ、12.小葉間胆管に注ぐ
  • 小葉間動脈・小葉間静脈・小葉間胆管は13.角形をなす14.肝小葉の角に集まる

<<ディッセ腔>>

  • 肝細胞索の間を走る洞様毛細血管の壁には活発な食作用を持つ大食細胞があり、1.クッパー星細胞と呼ばれる
  • 肝細胞索と洞様毛細血管の間が広く開いており、2.ディッセ腔という
  • 洞様毛細血管の壁にはたくさんの孔が開いていて、血漿成分は自由にディッセ腔に入ることができる、そのため、肝細胞は血漿に浸かっているような状態にある
  • ディッセ腔には3.ビタミンA貯蔵細胞がみられる
  • 黄疸は血中に4.ビリルビンが過剰になり、皮膚や粘膜が黄染される状態をいう
  • 黄疸が起こる原因として
    ①ビリルビンの生産過剰(溶血性黄疸)
    ②肝細胞の障害(肝細胞性黄疸)
    ③胆汁の排出経路の閉塞(閉塞性黄疸)
    などがある

消化器系(胆嚢)

  • 胆嚢は肝門の右前で1.右葉の下面につくナス形の袋で胆汁を蓄える
  • 胆嚢の前端は、腹直筋が2.右肋骨弓と交わるところで、腹壁の内面に接している
  • 胆嚢の後方は細く伸びて3.胆嚢管に移行する
  • 胆嚢管は長さが約3cmのやや迂曲する管で、内腔にはらせん状に突出する4.ヒダがあり、肝臓から出てきた肝管と合流して5.総胆管となる
  • 十二指腸壁から血中にコレシストキニンが放出され、このホルモンの作用で胆嚢が収縮し、胆汁が排出される
  • 胆汁が貯蔵、濃縮されて変化し、その中にコレステロールまたはビリルビンが沈殿して6.胆石は生成される

消化器系(膵臓)

  • 膵臓は長さ約15cm、重さ70gほどの舌状の実質性器官で、第1.1・2腰椎の前を後腹壁に付着して横走する
  • 膵臓は右から2.頭・体・尾の3部に分けられる
  • 右端が少し幅の広くなった膵頭はC字形に曲がった十二指腸に抱きかかえられ、左端の膵尾は3.脾臓に接する
  • 膵液を集めてきた膵管は総胆管と合流し、4.大十二指腸乳頭(ファーター乳頭)に開口する
  • 膵臓は、外分泌部と内分泌部に分けられる、5.外分泌部は分泌細胞が1列に並んで腺腔を弓状に囲み、この分泌細胞の集まりが、ブドウの房のように分枝した導管の先に連結する
  • 膵臓の外分泌性の組織の中に、明るい上皮細胞の集団があちこちに散在する、これを6.ランゲルハンス島(膵島)という
  • (6.)の大きさは直径が0.1~0.3mmの球状の構造で、その数は約100万個といわれ、主に7.膵尾に存在する
  • 膵臓がんは膵頭部を通る8.総胆管を圧迫し、早期に胆汁の流出を阻害し、黄疸をきたすことが多い

消化器系(消化器系の構造と機能)

  • 消化とは食物中の栄養素を吸収可能な形に分解することであり、次の2つの作用の組み合わせにより行われる
    1.機械的消化作用:筋肉系の働きで食物を粉砕・輸送・混和するものである(消化管の運動)
    2.化学的消化作用:酵素によって栄養素を加水分解する作用である(消化液分泌)
  • 消化管運動および消化液の分泌は、は反射的に自律神経系、各種の消化管ホルモンよって調節され、協調的に営まれる
  • 消化管の内側と外側の平滑筋層の間には、3.筋層間神経叢(アウエルバッハ神経叢)がある
  • 消化管の粘膜下層と内層の平滑筋層の間には4.粘膜下神経叢(マイスネル神経叢)がある
  • (3.)(4.)を合わせて5.壁内神経叢と呼ぶ

消化器系(口腔内の消化)

咀嚼

  • 咀嚼は下顎の運動による歯のかみ合わせに、舌、口唇、頬の動きが巧妙に協調することによって行われる
  • 咀嚼は、1.随意運動と無意識に起こる2.反射運動との組み合わせで行われる

嚥下

  • 咀嚼後の食物や口腔内に取り入れたられた液体は、一連の1.嚥下運動によって胃に送られる
  • 嚥下運動は3相に分けられる、第1相は2.随意運動であるが、第2,3相は3.延髄4.嚥下中枢によって調節される反射運動である

<<第1相(口腔相)>>

  • 嚥下の第1相は、口唇を閉じ、1.を後上方に引き上げることによって、口腔内圧を上げ、食塊を2.咽頭に押し出す運動である

<<第2相(咽頭相)>>

  • 嚥下の第2相は、食塊が1.咽頭に触れることによって起こる反射運動である
  • 次の運動により、咽頭内圧が上昇し食道の入り口が開き、食塊が食道へ送られる
    2.軟口蓋の挙上:鼻腔への出口を塞ぐ運動
    3.喉頭蓋の閉鎖:気管への出口を塞ぐ運動
    4.舌根を押し上げる:口腔への出口が塞ぐ運動

<<第3相(食道相)>>

  • 嚥下の第3相は、食道の1.蠕動運動により、食塊を胃に向かって移送する反射運動である
  • 食塊が2.噴門部に至ると3.噴門が開き、食塊は胃に収容される

唾液

<<唾液の成分・作用>>

  • 唾液腺には左右1対ずつ1.耳下腺2.舌下腺3.顎下腺がある
  • 唾液の大部分は水分で、残りの主成分は4.唾液アミラーゼ(プチアリン)、5.ムチン(粘液)で、pHは6~7である
  • 唾液は1日で0.5~1.5リットル分泌され、以下の作用がある
    (1)消化酵素である(4.)は6.デンプン7.マルトースに分解する
    (2)(5.)は食塊を滑らかにし、咀嚼や嚥下をしやすくする、また8.口腔粘膜を保護する
    (3)食物成分を溶かし味覚を起こす
    (4)口腔内を湿った状態にする
    (5)口腔内と歯を清浄に保つ
    (6)9.抗菌作用

<<分泌調節>>

  • 唾液の分泌は、自律神経によって調節される、副交感神経は1.舌咽神経を介して耳下腺に、2.顔面神経を介して顎下腺と舌下腺に分布する、交感神経(3.頚部交感神経)は3つの唾液腺に分布する
  • 副交感および交感神経はともに唾液分泌を4.a(a:促進/b:抑制)する
  • 主要な唾液の分泌神経は5.b(a:交感/b:副交感)神経で、これの亢進により大量の漿液性唾液が分泌される、唾液分泌中枢は6.延髄に存在する
  • 食塊によって口腔粘膜、舌、咽頭粘膜が刺激されて反射性に唾液分泌を促すことを7.無条件反射、それ以外の刺激(眼や耳からの感覚性刺激)によって唾液分泌が促されることを8.条件反射という

消化器系(胃内の消化)

  • 胃に入った食物は1.蠕動運動によって胃液と混和される
  • 胃では主として2.タンパク質が消化され、流動性に糜粥となり、少量ずつ十二指腸に送られる

胃運動

<<内容物の受け入れ>>

  • 胃に食物がない場合、、胃内圧は腹腔内圧にほぼ等しい
  • 胃が胃内圧をあまり高めずに胃内容積を増やす反射を1.受け入れ弛緩という

<<蠕動運動>>

  • 胃の蠕動運動は毎分約1.回の頻度で胃体上部に始まり、ゆっくりと幽門に向かって伝えられる

<<内容物の排出>>

  • 蠕動運動が幽門部に及ぶと、幽門部の内圧が著しく1.a(a:高まり/b:低くなり)、糜粥は幽門から少量ずつ十二指腸に送り出される

<<飢餓収縮>>

  • 長い間空腹状態にすると、ときに胃に激しい収縮が起こる、これを1.飢餓収縮といい、これはモチリンというホルモンが関与する

<<胃運動の調節>>

  • 胃の運動は、局所性には胃の1.平滑筋の性質や、胃壁に内在する2.壁内神経叢によって調節される
  • 胃の運動は、外因性に自律神経やホルモンによる調節が関与することによって、より適切に調節される
  • 一般に、3.副交感(迷走)神経は胃の緊張性を高め、蠕動運動を促進する
  • 十二指腸が伸展されると、反射性に胃の運動が抑制されることを4.小腸-胃反射という
  • 十二指腸に脂肪の多い食物が入ると、十二指腸粘膜から血中へ5.胃抑制ペプチド(GIP)が分泌され、胃の運動を抑制する

<<嘔吐>>

  • 咽頭、舌根、胃粘膜などが機械的あるいは化学的に強く刺激されると、1.延髄2.嘔吐中枢が活動し、悪心→唾液分泌→幽門開口(食道および胃の弛緩)→痙攣的吸息運動→腹腔内圧上昇(横隔膜と腹筋の収縮)→内容物の吐瀉という機構が働く、このとき3.喉頭蓋は閉鎖して、吐物の気管内流入を防ぐ
  • 毒性のあるものを食べたときに働く延髄の部位は4.化学受容器引金帯である

胃液の分泌

<<胃腺の構成>>

  • 1.粘液細胞(副細胞)はムチンを分泌する
  • 主細胞は2.ペプシノゲンを分泌する
  • 3.壁細胞(傍細胞)は塩酸を分泌する
  • 4.内分泌細胞はホルモンを分泌する
  • 胃腺には5.噴門腺6.胃底腺7.幽門腺の3つの腺がある
  • 8.胃底腺には4種類の細胞すべてが含まれる

<<胃液の成分・作用>>

  • 胃液は一般に無色透明で1日1~3リットル分泌され、pHは1~2で強い酸性である
  • 胃液の主成分は1.塩酸2.消化酵素3.ムチン4.内因子である
  • 塩酸(HCl)の働き:
    i) ペプシノゲンを活性化して5.ペプシンにする
    ii) ペプシンの作用を6.a(a:促進/b:抑制)する
    iii)胃内容の7.殺菌8.消毒作用を持つ
    iv) 十二指腸における9.セクレチンの分泌を促進する
  • 消化酵素の働き:
    i) ペプシンがタンパク質を10.ペプチドに分解する
  • ムチン(粘液)の働き:
    i) 胃粘膜がHClによって傷害されるのを防ぐ、これが不十分だったり、HClの分泌が多くなったりすると、11.胃潰瘍の原因となる
  • ストレスの際に分泌の高まる12.副腎皮質ホルモンは胃の粘液分泌を抑える

<<胃液分泌の調節>>

  • 交感神経(内蔵神経)は1.胃粘膜血流を減少させて、胃液の分泌を減少させる
  • 2.幽門腺から分泌される3.ガストリンが胃液分泌(塩酸分泌)を促進し、4.十二指腸から分泌される5.セクレチンやGIPが胃液分泌を抑制する
  • 食事によって反射性に起こる胃液の分泌は次の3相に区別される
    頭相:延髄に聴覚、視覚、嗅覚、味覚の情報が送られると、6.迷走神経を介して条件反射性や無条件反射性に胃液分泌の7.a(a:増加/b:減少)が起こる
    胃相:胃壁が伸展されたり、食物中の科学物質によって刺激されると8.ガストリンというホルモンの分泌が起こり、胃液分泌を9.a(a:促進/b:抑制)する
    腸相:酸や脂肪によって十二指腸から10.セクレチン11.GIP(胃抑制ペプチド)を分泌させ、胃液分泌を12.b(a:促進/b:抑制)する
    腸相ではタンパク質分解産物が十二指腸を刺激して、十二指腸粘膜からガストリンが分泌され、胃液分泌を促進する機構もあるが、抑制機構の方が強い

消化器系(小腸の消化と吸収)

  • 小腸は食物の消化と吸収の双方に重要な場であり、最終的に吸収可能な栄養素にまで消化され、大部分の栄養素が吸収される
  • 十二指腸には1.膵液および2.胆汁が流入する、されに小腸粘膜からは3.腸液が大量に分泌される

小腸の運動

  • 糜粥が胃から小腸に送り込まれると小腸の運動が起こる

<<小腸運動の種類>>

  • 小腸の運動は1.分節運動2.振子運動3.蠕動運動の3種類に分けられる
  • 分節運動:4.輪走筋による運動、一定の間隔で収縮部と弛緩部ができ、腸内容の5.混和に役立つ
  • 振子運動:6.縦走筋による運動で、腸管の縦方向の伸縮運動が起こり、腸内容の7.混和に役立つ
  • 蠕動運動:主に8.輪走筋による運動で、腸内容の9.移送と、十二指腸では逆方向の蠕動もみられ、消化液との10.混和に役立つ

<<小腸運動の神経性調節>>

  • 小腸運動は一般に副交感神経(迷走神経)の刺激で1.a(a:亢進する/b:抑制される)
  • 小腸運動は外来神経がなくとも、蠕動運動は2.壁内神経性に、分節運動は3.小腸平滑筋自体の性質によっても調節される

<<小腸運動の神経性調節>>

  • 小腸内容がごく少量のときには回盲弁の括約筋が収縮している
  • 回盲部に糜粥がある程度たまると、回腸壁の伸展刺激によって回盲弁の括約筋は弛緩する
  • 胃に食物が入ると、反射的に回腸の蠕動運動がさかんになり、回盲弁が開く、これを1.胃-回腸反射という

膵液の分泌

  • 膵臓は1.十二指腸弯曲部に接する長さ15cm、厚さ約2cmの横長の腺器官である
  • 膵液を分泌する2.外分泌腺は腺房細胞が集まった3.腺房とそれに続く導管細胞で囲まれた4.導管とからなる
  • 導管は集まって5.膵管となり、総胆管と合流して十二指腸に開口する

<<膵液の成分・作用>>

  • 膵液には次の特徴がある
    i) タンパク質、脂肪、糖質の1.消化酵素を含む
    ii)2.重炭酸ナトリウムを含み、弱アルカリ性で、胃から送られてきた内容物を中和する
  • 膵臓には次の消化酵素が含まれる
    i) 3.アミラーゼ:デンプンをマルトース(麦芽糖)に分解する
    ii) トリプシノゲンとキモトリプシノゲン:活性化され、トリプシンとキモトリプシンとなり、タンパク質を4.ペプチドに分解する
    iii)5.リパーゼ:脂肪を脂肪酸とモノグリセリドに分解する
    iv) 6.ヌクレアーゼ:核酸を分解する
  • NaHCOには胃から送られた大量の強酸性の糜粥を中和する、膵液酵素の至適pHは7.中性に近いものが多い

<<膵液の分泌調節>>

  • 膵液分泌は1.副交感神経(迷走神経)およびホルモンにより調節される
  • 糜粥が小腸内に入ると十二指腸および上部空腸の粘膜のない分泌細胞から2.セクレチン3.コレシストキニン(CCK)というホルモンが分泌され、血行を介して4.膵外分泌腺を促す
  • セクレチンはHCOや水分に富む膵液の分泌を促進する
  • コレシストキニンは消化酵素に富む膵液の分泌を促進する

胆汁の分泌

  • 胆汁は1.肝細胞で生成され、胆嚢で一時蓄えられ濃縮される

<<胆汁の成分・作用>>

  • 胆汁は1.黄褐色の液体であり、肝臓から1日約500ml分泌される
  • 胆汁は次の成分を含み、消化酵素を含まないが、表面活性作用を持ち2.脂肪の消化・吸収に重要な役割を果たす
    胆汁酸:脂肪を3.乳化して消化酵素の働きを助ける、さらに脂肪の分解産物に作用して4.小腸から吸収されやすい形にする(ミセル)、腸内に分泌された胆汁酸の90~95%は5.小腸で再吸収され6.腸肝循環を繰り返している
    胆汁色素(ビリルビン):老廃赤血球の7.ヘモグロビンに由来する、黄色い色素で、大部分は8.糞便中に排泄される
  • 胆汁は胆汁酸、ビリルビンのほかにも9.コレステロールを含み、(9.)とビリルビンなどが石状に固まって胆石を生じることがある、この胆石で激しい痛み(胆石仙痛)や黄疸が起こる

<<胆汁の分泌調節>>

  • 肝細胞の胆汁分泌を促すホルモンとして、小腸から分泌される1.セクレチンがある
  • 胆嚢収縮を促すホルモンとして、脂肪性食物が刺激となって十二指腸粘膜より分泌される2.コレシストキニンがある
  • 3.副交感神経が高まると胆嚢が収縮する

腸液の分泌

  • 腸液を分泌する腺には十二指腸上部のみに分布する1.ブルンネル腺(十二指腸腺)と小腸全体に分布する2.リーベルキューン腺(腸線)がある

<<腸液の成分・作用>>

  • 腸液は弱1.b(a:酸性/b:アルカリ性)の液で1日の分泌量は1.5~3リットルである
  • 2.ブルンネル腺より分泌される腸液は粘液と炭酸水素ナトリウム(NaHCO)を多く含み、酸性糜粥を中和する働きを持つ
  • 腸液の酵素は小腸上皮細胞の3.刷子縁膜に存在し、ここで消化作用を行い、膵液の消化作用を補って消化を完成させる働きを持つ、この酵素には次の酵素がある
    4.アミノペプチダーゼ:ペプチドを5.アミノ酸に分解する
    6.マルターゼ:マルトースを7.グルコースに分解する
    8.スクラーゼ:スクロース(ショ糖)を9.グルコース10.フルクトース(果糖)に分解する
    11.ラクターゼ:ラクトース(乳糖)を12.グルコース13.ガラクトースに分解する
    リパーゼ:脂肪を脂肪酸と14.モノグリセリドに分解する
    ヌクレアーゼ:核酸を分解する
    15.エンテロキナーゼ:膵液中の16.トリプシノゲンを活性化して17.トリプシンにする

<<腸液の分泌成分>>

  • 腸液の分泌は1.副交感神経活動の亢進及び2.セクレチン(ホルモン性)によって促進する

小腸吸収の機序

  • 小腸が物質の吸収に適している特徴として、広大な表面積があげられるが、それは小腸粘膜の1.輪状ヒダ、その表面の2.絨毛、その細胞の3.微絨毛という構造によって大きくなっている
  • 小腸の管腔側に面した上皮細胞膜は、微絨毛が刷毛(はけ)のように並んでいるので4.刷子縁膜と呼ばれる
  • 絨毛の伸縮運動は物質の吸収を促進する
  • 小腸の物質の吸収に適している特長として、絨毛中の豊富な5.血管網(毛細血管)が上げられる
  • 小腸からの静脈血はすべて門脈を通り、肝臓に送られる
  • 小腸での物質の吸収は6.拡散などによる受動輸送および積極的な7.能動輸送によって行われる

各種栄養素の吸収

<<糖質の吸収>>

  • 糖質は1.単糖類に分解されて始めて吸収される
  • 2.グルコース3.ガラクトースは主に能動輸送によって速やかに吸収される多、他の単糖類は拡散によってゆっくりと吸収され、門脈血中に入る
  • (2.)の能動輸送は刷子縁膜にある4.担体によってエネルギーを使って行われる
  • 小腸管腔のグルコースは、グルコース-担体-Naという三重複合体となって刷子縁膜を通り抜け、上皮細胞内に運ばれる

<<タンパク質の吸収>>

  • タンパク質は1.アミノ酸に分解された後に拡散や能動輸送によって吸収され、門脈血中に入る

<<脂肪の吸収>>

  • 脂肪は1.脂肪酸2.モノグリセリドに分解されるが、そのままでは管腔内を移動しにくいので、3.胆汁酸とともに小さな水溶性の4.脂質集合体(ミセル)を作って微絨毛表面に達し、拡散によって小腸上皮細胞内に吸収される
  • 小腸上皮細胞内に取り入れられた脂肪酸とモノグリセリドは脂肪に再合成され、5.キロミクロン(カイロミクロン)を形成したのち、リンパ管に入る、脂肪酸の一部は遊離脂肪酸として門脈血中に入る

<<水と電解質の吸収>>

  • 水分の約83%は1.小腸、約16%は2.大腸で吸収され、残りの1%程度は3.糞便中に排出される
  • 小腸のNaの吸収の大部分は能動的に、一部は濃度差により受動的に行われる、大腸では、能動輸送により吸収される
  • Clや水の吸収は一般に4.Naの吸収に伴い受動的に行われる(二次性能動輸送)
  • 電解質の吸収は種類によって異なり、1価の電解質(Na、K、Cl、HCO)は吸収されやすいが、骨形成に必要な5.Ca2+6.Fe2+は能動輸送によって吸収される
  • 食物中のテツの多くは3価の鉄イオンである、これは体内に吸収されにくいが、7.胃酸の作用で2価の鉄イオンとなって吸収されやすくなる

<<ビタミンの吸収>>

  • ビタミンA,D,E,Kは1.脂溶性で、ミセルとなって小腸上皮細胞膜に達し、拡散によって吸収される、これに対し、2.水溶性のビタミンは速やかに吸収される
  • ビタミンB123.胃粘膜から分泌される内因子と結合して吸収される

消化器系(大腸内の消化と吸収)

大腸運動

  • 大腸の運動には1.分節運動、2.蠕動運動、3.逆蠕動と1日数回起こる4.大蠕動がある
  • 分節運動は主に5.横行結腸で行われる
  • 逆蠕動は6.盲腸から7.上行結腸にかけて起こる
  • 大蠕動は横行結腸からS状結腸にかけての平滑筋が同時に収縮して、内容物を一気に直腸へ運ぶ
  • 大蠕動はしばしば摂食後数分以内に起こるが、これは、胃の充満によって起こる8.胃-大腸反射によるものである

大腸運動の調節

  • 大腸の運動は副交感神経(主に1.骨盤神経)によって促進され、交感神経(主に2.下腹神経)によって抑制される
  • 直腸の終末部の括約筋で3.内肛門括約筋は交感神経によって収縮し、副交感神経によって弛緩する、4.外肛門括約筋は随意筋であり、体性運動神経(陰部神経)の支配を受ける

大腸の分泌機能

  • 大腸液は1.b(a:酸性/b:アルカリ性)で、消化酵素は含まないが粘液に富む、粘液は大腸壁を保護したり、大腸内容の移送を容易にする働きを持つ

大腸における吸収

  • 大腸では主に1.2.Naが吸収される

腸内細菌

  • 腸内細菌は1.小腸で消化しきれなかったものを分解する
  • 食物繊維は腸内細菌の働きにより発酵されて、2.ガス(酪酸・酢酸、CO、H2、メタンなど)を発生する
  • アミノ酸は腸内細菌により3.インドール4.スカトールなどを生成し、糞便臭の原因となる

消化器系(直腸、肛門と排便)

  • 糞便によって直腸壁が伸展されるとその情報が大脳に伝えられ、便意を催すとともに、1.排便反射が引き起こされる
  • 排便反射は次のような機序に基づいて誘発される
    1.直腸壁が伸展され、その情報が2.骨盤神経の求心路を通って、腰仙髄の3.排便中枢に伝えられる
    2.4.骨盤神経の遠心路の活動が亢進してS状結腸、直腸を収縮させるとともに、5.下腹神経の緊張が抑制されて6.内肛門括約筋が弛緩する
    3.7.陰部神経の緊張が抑制されて8.外肛門括約筋が弛緩する
    4.随意的に横隔膜および腹筋を収縮させて9.腹圧を高め、排便を容易にする
  • 脊髄の腰仙髄部にある排便中枢は通常は大脳からの抑制を受けているが、大脳の損傷によって抑制が失われたりすると、10.大便失禁が起こる

消化器系(消化管ホルモン)

  • 1.VIP(血管作動性ペプチド):小腸粘膜から血圧を低下させる物質
  • 2.ソマトスタチン:視床下部や膵臓のホルモンの一つであるが、同じ物質が腸管粘膜にも存在する、これは消化器系の分泌腺に働いて分泌を3.b(a:促進/b:抑制)する
  • 3.腸管グルカゴン:膵臓のランゲルハンス島から分泌されるグルカゴンと同じ物質が腸管粘膜にも存在し、(3.)と呼ばれる

消化器系(肝臓の働き)

物質代謝

肝臓での代謝には以下のようなものがある

  • 糖代謝:小腸で吸収された血液中のグルコースは門脈を通って肝臓に入り、大部分は1.グリコーゲンに合成されて肝臓内に貯蔵される
  • 血糖が低下すると、(1.)が2.グルコースに分解されて血中に出て行く
  • タンパク質代謝:吸収された3.アミノ酸から各種タンパク質が合成される、たとえば、血漿タンパク質のアルブミンやフィブリノゲンは4.肝細胞で作られる
  • 不要なアミノ酸が分解されて生じた有毒な5.アンモニアを尿素に転換し、無毒化する
  • 脂質代謝:脂肪を合成したり分解する、6.コレステロールを産生する
  • ビタミン、無機質の代謝:各種ビタミンや無機質(鉄など)を7.貯蔵したり、必要に応じて放出する
  • ホルモンの代謝:ホルモンの前駆物質の生成、変換、ホルモンの不活性化を行う

胆汁の生成

  • 胆汁は肝細胞で生成される

解毒作用

  • 血液中の有害物質を1.グルクロン酸抱合や酸化などにより無害化する、また、薬物やアルコールの代謝も行う

血液凝固における働き

  • 血液凝固に関与する1.フィブリノゲン2.プロトロンビンまた血液凝固を阻止する3.ヘパリンなどを生成する

血液の貯蔵

  • 全血の約10%を貯蔵し、循環血液量を調節する、出血時には肝臓に蓄えられている血液を動員する

生体防衛作用

  • 1.クッパー細胞の食作用によって、血液中の異物を取り除く

消化器系(消化管ホルモン)

消化管ホルモン局在主な作用分泌刺激
1.ガストリン胃幽門部
十二指腸
胃液分泌促進伸展刺激
迷走神経刺激
蛋白質消化物
2.セクレチン十二指腸
空腸
膵HCO分泌促進
胆汁産生促進
腸液分泌促進
胃液分泌抑制
3.CCK十二指腸
空腸
膵酵素分泌促進
胆嚢収縮
蛋白質消化物
脂肪消化物
4.GIP十二指腸
空腸
胃運動抑制(大量)
胃液分泌抑制
グルコース
蛋白質消化物
脂肪消化物
5.モチリン胃、小腸、大腸胃腸管運動亢進アルカリ性物質
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