解剖学、生理学III(循環器系)

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循環器系(心臓/解剖学)

心臓の位置

心臓の位置

  • 心臓は胸腔内臓器で、胸郭の1.b(a:左側/b:ほぼ中央/c:右側)で胸骨体の直後に位置する
  • 心臓は円錐を逆さにした形で、大血管が出入りする上部を2.心底といい、細くとがった下部を3.心尖という
  • 心尖部は左胸部に片寄り、体表から見ると左の第4.肋間、5.鎖骨中線付近に位置する
  • 心臓は縦隔の6.b(a:前部/b:中部/c:後部)に位置し、7.心嚢という袋の中の心膜腔に入る
  • (7.)をつくる膜を8.心膜といい、表層は9.線維性心膜、深層は心膜腔を取り囲む10.漿膜性心膜から構成される

心膜と心嚢

心膜と心臓壁のイメージ

心膜(心嚢)1.線維性心膜縦隔にある臓器間を埋める線維性結合組織で、心嚢を横隔膜の2.腱中心3.胸骨の後面に固着させる
4.漿膜性心膜5.壁側板(1.)の裏打ちとして心嚢の内張りをなす
6.臓側板
9.心外膜
(8.)の(9.)をなし、心臓に出入りする大血管の基部で翻転し、(1.)とひと続きの膜で、7.心膜腔をつくる
 8.心臓壁漿膜((6.))と結合組織からなる、この結合組織内に心臓を栄養する10.冠状動脈と静脈が走る
11.心筋層(8.)の主体、心臓内腔を取り囲むように12.ラセン状に走る、13.横紋筋、各筋細胞の境界に14.介在板が見られる、心房より心室のほうが厚い、右心室壁より左心室壁のほうが厚い
14.心内膜心臓の内面をおおう15.単層扁平上皮と薄い結合組織層からなる、心臓に出入りする血管の内膜で、血液の逆流を防ぐ16.弁膜はこれのヒダである
  • 17.心タンポナーゼとは、心膜腔に大量の液体が貯留し、拍出量が減少し循環不全を起こしている状態
  • 18.心内膜炎は、弁膜にも炎症が波及し、弁の変形や閉鎖不全を招く

心房と心室

  • 心臓は上後方部の1.心房と下前方部の2.心室に分けられる
  • 心房と心室はそれぞれ3.心房中隔4.心室中隔によって左右に分けられる
  • 右心房には、5.上大静脈6.下大静脈が注ぐ、心臓自身の静脈(7.冠状静脈洞)も開口する
  • 左心房には、左右8.対の肺静脈が注ぐ
  • 右心室からは9.肺動脈が出る
  • 左心室からは10.大動脈が出る
  • 左右の心房の前端を11.左心耳12.右心耳といい、13.大動脈14.肺動脈の基部を抱くようにふくれている
  • 心臓表面で、心房と心室の境界には15.冠状溝が形成される
  • 心臓の前面と後面には、左右の心室間に沿う16.前室間溝17.後室間溝が認められる
  • 18.a(a:心房/b:心室)の内面は比較的滑らかであるが、もう一方の内面は心筋が網目状に盛り上がった肉柱や、内腔に突き出した乳頭筋がみられる

心臓の弁膜

  • 心房と心室の間の弁を1.房室弁、心室と動脈の間の弁を2.動脈弁という
  • 左の(1.)を3.二尖弁あるいは4.僧帽弁と呼ぶ
  • 右の(1.)を5.三尖弁という
  • (1.)は心室に垂れ下がり、二尖の尖端は6.腱索に移行し、それを介して心室内腔に出た7.乳頭筋に固定される
  • 動脈弁は3枚の半月形の弁からなるため、8.半月弁とも呼ばれる
  • 左前方にある肺動脈の基部には9.肺動脈弁、右後方にある大動脈の基部には10.大動脈弁がある
  • 心房と心室の間には房室弁と動脈弁の輪郭を丸く取り囲んだ11.線維輪と、三角形を呈する12.線維三角という結合組織の線維束が取り巻いて、心房筋と心室筋を隔てる
  • (11.)は房室口と動脈口の形を保持して弁膜を付着させ、(12.)は心房筋と心室筋とを連絡する

刺激伝導系

刺激伝導系

  • 1.刺激伝導系:心筋の収縮のための興奮を伝えるためのシステム
  • 2.特殊心筋線維:(1.)を構成する組織、一般の心筋線維(固有心筋)よりも太くて細胞質に富むが、筋原線維は少なく、心筋の収縮を興奮として伝えていく性質がある
  • (1.)は興奮を伝える順に次の4部位からなる:
    [3.洞房結節]→[4.房室結節]→[5.房室束または6.ヒス束]→[7.プルキンエ線維]
  • (3.)は8.特殊心筋線維の網状の集まりで、右心房の9.上大静脈開口部に位置し、心臓拍動の起点となり、心臓の収縮運動のリズムを決定する10.ペースメーカー(歩調とり)として機能する
  • この部分には興奮のテンポを速める交感神経(頚部交感神経幹からの11.心臓神経)と、テンポを遅くする副交感神経(12.迷走神経)が分布する
  • (4.)は右心房の13.下壁にある14.特殊心筋線維の密な塊である
  • (5.)は15.心房16.心室とを連絡する17.特殊心筋線維の束であり、これは18.線維三角を貫通して心室中隔に達し、19.右脚20.左脚に分かれる
  • (6.)は21.心内膜下を細かく分枝しながら網の目のように走る、末端は一般の心筋(心室筋や乳頭筋)に移行して、興奮を伝える
  • 22.期外収縮:洞房結節のリズム以外に余計な収縮、何らかの理由で洞房結節以外の刺激伝導系が独自に興奮し始めたときに起こる
  • 23.房室ブロック:房室束などが虚血によって遮断され、心房と心室は同調して収縮しなくなり、それぞれ独立した収縮を始めた状態

心臓の血管

  • 右冠状動脈は大動脈基部の1.前面から出て、右心耳と右心室の間を通って2.冠状溝を右に回って心臓の後面に達し、3.後室間枝となって4.後室間溝を心尖に向かって下行する
  • 左冠状動脈は大動脈基部の5.左側から出て、肺動脈と左心耳の間を通って2.冠状溝に達し、6.前室間枝となって7.前室間溝を心尖に向かって下行する
  • 左冠状動脈は冠状溝を左後方に向かう8.回旋枝を出して、左心室の後方部を栄養しながら心臓後面に達する
  • (8.)は9.後室間枝とわずかに吻合する場合もある
  • 前室間溝から冠状溝を走る10.大心臓静脈や、後室間溝を走る11.中心臓静脈、右心室後壁を上行する小心臓静脈は、心臓後面の冠状溝を走る太い12.冠状静脈洞に集まり、右心房の後面に注ぐ
  • 心臓の重さは体重の0.5%程度であるが、冠状動脈に送られるのは全循環血液量の13.%に達する
  • 14.狭心症:冠状血管の狭窄などにより血流が不足した状態
  • 15.心筋梗塞:冠状動脈の一部が閉塞し、流域の心臓が壊死する病状

過去問

心臓について正しいのはどれか:
1.心尖は第2肋間の高さに位置する
2.右房室弁は僧房弁という
3.心臓の静脈血は下大静脈に注ぐ
4.洞房結節は上大静脈の開口部に位置する

答えと解説4が正しい:1.心尖は第5肋間の高さ、2.右房室弁は三尖弁という、3.心臓の静脈血は冠状静脈洞に注ぐ

循環器系(心臓血管系)

体循環と肺循環

  • 右心室→肺動脈→肺毛細血管→肺静脈→左心房、この経路を1.肺循環または2.小循環と呼ぶ
  • 左心室→大動脈→各器官→大静脈→右心房、この経路を3.体循環または4.大循環と呼ぶ
  • 心臓から流出した血液が心臓にもどるには、安静時の成人の場合、約5.分を要する
  • 体循環系の動脈の血圧は6.a(a:高い/b:低い)が肺循環系の動脈は7.b(a:高い/b:低い)
  • 安静時の心拍出量の各器官への分布を百分率で示すと
    脳:15
    心臓(冠状血管):
    肝臓(脾臓、腸管など):26
    腎臓:25
    骨格筋:17
    皮膚・骨・その他:12

動脈と静脈

  • 肺動脈は1.b(a:動脈血/b:静脈血)を、肺静脈は2.a(a:動脈血/b:静脈血)を運ぶ
  • 動脈と静脈の間には一般に3.毛細血管の領域が存在する

循環器系(心臓/生理学)

心臓の構造と機能

  • 心臓は1.にぎりこぶし大の大きさで、心筋と呼ばれる特殊な2.横紋筋により構成される
  • 最初に心房が収縮し、約3.0.16秒送れて心室が収縮する

心筋の基本的性質

  • 心筋は収縮に適した1.固有心筋と、興奮の発生と伝導に適した2.特殊心筋に大別される
  • 心筋細胞は介在板によって吻合し、介在板には3.ギャップ結合という特殊な構造があり、電気的な興奮が1つの細胞より隣の細胞に容易に伝わる
  • 多数の細胞から構成される心房と心室はおのおのがあたかも1個の細胞のように機能するため、心筋細胞全体として4.機能的合胞体と呼ぶ
  • 心筋は伸展の度合いに応じて大きな収縮力を発生する、これを5.スターリングの心臓の法則と呼ぶ、右心房に流入する静脈血の量が6.a(a:多い/b:少ない)ほど心臓の拍出量が増加することになる

刺激伝導系

  • 房室結節も自動性を持つが、洞房結節の興奮のリズムのほうが房室結節のリズムより7.a(a:速い/b:遅い)ため、正常では心臓全体は洞房結節の作るリズムで興奮する(オーバードライブ抑制)
  • 刺激伝導系が心房と心室の間で障害を受けている状態を8.房室ブロックという

心機能の調節

<<心周期の区分>>

心周期1.収縮期2.等容性収縮期
3.駆出期
4.拡張期(弛緩期)5.等容性弛緩期
6.充満期
  • (7.)(9.)(11.)(12.)に当てはまるものを次の中から選んでください
    ・・・・a:等容性収縮、b:駆出、c:等容性拡張、d:充満
  •   7.d期:心室内圧が心房内圧より8.b(a:上昇/b:低下)すると房室弁が開く
  •   9.b期:動脈弁が開いてから閉じるまで。心室内圧が動脈圧を10.超えると動脈弁が開く、その関係が逆転して弁が閉じる
  • 11.a期:すべての弁が閉じている状態、心室内圧が上昇している
  • 12.c期:動脈弁が閉鎖してから房室弁が開くまで
  • 心周期は約0.8秒(心拍数75回毎分の場合)である。このうち収縮期は約13.0.3秒、拡張期は約14.0.5秒持続する

<<心音>>

心音音が出る時期周波数聴取される場所音の原因
第1心音(I)心周期の1.開始時やや低い周波数(30~45Hz)のやや長く続く音2.心尖部主に3.房室弁の閉鎖。筋の収縮音、動脈内の渦流なども関与
第2心音(II)4.拡張期の開始時やや高い周波数(50~70Hz)の短い持続性の音5.心底部主に6.動脈弁の閉鎖。動脈壁の振動も関与
第3心音(III)7.第2心音の後(記述なし)8.心尖部心房から心室への血液の流入
  • 9.心雑音:心音に雑音が聞かれるようになる状態。病態としては先天性心疾患、10.弁膜症、貧血、発熱、血液粘度の低下などが挙げられる

<<心拍数>>

  • 1分間の心臓の拍動数を1.心拍数という
  • 2.頻脈:心拍数が正常より高い
  • 3.徐脈:心拍数が正常より低い
  • 心拍数は呼吸に同期して、周期的にわずかに変動し、吸息時には4.a(a:速く/b:遅く)なる、これを5.呼吸性不整脈といい、6.小児で著しい
  • 7.不整脈:不規則な心拍リズムのこと、心臓の異常による不整脈(8.房室ブロック9.心房細動10.心室細動)に加えて、呼吸性不整脈のように健常者に見られるものもある

<<心拍出量>>

  • 1回の心臓拍動によって左心室から拍出される血液量を1.1回拍出量という
  • 正常成人の安静時で70~80ミリリットル程度
  • 1分間の拍出量を2.毎分心拍出量といい、1回拍出量×心拍数で求められる(約5リットル)
  • 激しい運動をすると、毎分心拍出量は約25リットル程度にも達しうる

心電図

<<心電図(ECG)の波形>>

  • 1.心電図:心筋が収縮に先行して発生する活動電位の総和を体表から記録したもの
  • 心電図に現れるP波、QRS群、T波のそれぞれは次の過程を表す
    P波:2.心房興奮
    QRS群:3.心室興奮開始
    T波:4.心室興奮消退

<<心電図の記録方法>>

心電図

  • 心電図の記録には観測地点の違いによる、1.標準肢誘導2.増幅単極肢誘導3.単極胸部誘導からなる合計4.12誘導が用いられる
  • 標準肢誘導:右手、左手、5.左足のいずれかの2点間の6.電位差を記録する方法
    測定部位・・・a(左手~左足)、b(右手~左手)、c(右手~左足)
    第I誘導・・・7.b
    第II誘導・・・8.c
    第III誘導・・9.a
  • 増幅単極肢誘導:右手、左手、左足のある1点の電位変動を、他の2点の電位の平均値を基準として記録する方法
    測定部位・・・a(左足~(右手+左手)÷2)、b(左手~(右手+左足)÷2)、c(右手~(左手+左足)÷2)
    aV誘導・・・10.c
    aV誘導・・・11.b
    aV誘導・・・12.a
  • 単極胸部誘導:心臓近くの13.ヶ所に電極を置き、右手、左手、左足の電位の平均値を基準として記録する方法、これは心臓の各部位の状態をより直接的に把握することができる
    把握できる部位・・・a(右心室)、b(左心室)、c(心室中隔)
    V1、V2・・・14.a
    V3、V4・・・15.c
    V5、V6・・・16.b
    波形の捉え方は、それぞれの観測地点(目の位置)から心臓を眺めているものと考える

<<心筋の電気現象と心電図>>

イオン

  • 心電図上のP波は1.心房の興奮、QRS群は2.心室の興奮、T波は心室の3.再分極に一致する
  • 膜電位:細胞膜外と細胞膜内のイオンの分布差により生じる電位
  • 静止膜電位:イオンは細胞内外を絶えず移動しているが、イオンの移動が見かけ上動かなくなった状態、静止膜電位では膜内は膜外に比べてマイナスの電位差がある
  • 活動電位:刺激によって細胞膜に生じる一過性の膜電位の変化(上右図)
  • 活動電位は、膜のNa+が細胞内に急速に流入することによって膜電位がプラス方向に変化し起こる
    心筋は骨格筋細胞や神経とは違い、Na+に続いて4.Ca2+も細胞内に流入する
    上昇した膜電位は、ナトリウムカリウムポンプの働きによって、元の膜電位に徐々に戻るが、Ca2+の流出速度が遅いため、心筋は他の細胞に比べ脱分極(再分極相)が長い、この電位の相を5.プラトー相という
  • 活動電位の上昇相と下降相の大部分の期間は、細胞が新たに興奮できないため6.絶対不応期と呼ばれ、心筋は約0.2秒で、他の細胞より非常に長い(プラトー相があるため)、この間は心筋が収縮できない
  • 心筋の興奮や刺激伝導系に異常があると、7.PQ間隔の変動、8.QRS群の変動が認められる
  • 心室筋に障害があると、9.T波に変化が見られる

心臓の神経支配

  • 1.変時作用:心拍数の調整
  • 2.変伝導作用:興奮伝導の速度の調整
  • 3.変力作用:心筋の収縮力の調整
  • 4.交感神経:心拍数の増加、興奮伝導時間の短縮、心筋収縮力の増大を起こす
  • 5.迷走神経:心拍数の減少、興奮伝導時間の延長を起こす
  • 心臓支配の交感神経は脊髄の6.上部胸髄より出て、心房、洞房結節、房室結節、心室などに分布する
  • 心臓迷走神経は7.延髄より出て動房結節と心房に分布する
  • 心臓の状態の情報は8.求心性神経を通って中枢神経系に伝えられる

循環器系(血管系の構造と機能)

  • 1.血圧:血管内に生じる圧、一般に(1.)というと、体循環系の動脈血圧をさす
  • 血圧は2.大動脈で最も高い
  • 血管系の総断面積は血管が分岐を繰り返すにつれて3.a(a:大きく/b:小さく)なる
  • 毛細血管の部分の血流速度は非常に4.b(a:速い/b:遅い)

血管の構造

  • 大部分の血管は、1.外膜2.中膜3.内膜の3層よりなる
  • 毛細血管は4.層の5.内皮細胞のみからなり、物質の透過性が高い

抵抗血管と容量血管

  • 細動脈の血管抵抗は特に大きく、1.抵抗血管とも呼ばれる
  • 静脈は伸展しやすく、血液貯蔵所としての役割を持つため、2.容量血管とも呼ばれる
  • 脈拍は、手首の内側、3.足背部、側頚部、4.膝窩部などの部位で触れることができる

血流

  • 1.血流量:血管の断面を単位時間に通過する血液の量
  • 2.血流速度:血液が単位時間に移動する距離
  • 血流量=3.血管の断面積×4.血流速度
  • 血流量が一定のとき、血管の断面積と血流速度は反比例することがわかる(断面積の大きい毛細血管では血流速度が遅い)

毛細血管の循環

  • 毛細血管の部分の血流速度は非常に遅いので、1.間質液2.血液との間のガス・物質交換が行われやすい
  • 毛細血管内の圧は動脈側で約3.35mmHg、静脈側で約4.15mmHgであり、動脈圧に比べて著しく低い
  • 毛細血管の部分の血流速度は非常に5.b(a:速い/b:遅い)ので、間質液と血液との間のガス・物質交換が行われ6.a(a:やすい/b:にくい)
  • 毛細血管には、血液が常時流れている優先路と、組織の活動に応じて流れる7.真毛細血管がある
  • (7.)の入り口には8.前毛細血管括約筋が存在し、その収縮によって血流が調節される、内径は9.赤血球が通れる程度の太さである
  • 毛細血管は10.層の内皮細胞(約1マイクロメートル)とそれを取り巻く基底膜からなり、物質の透過性が11.a(a:高い/b:低い)ため、毛細血管を12.交換血管ともいう
  • 細動脈と細静脈の間には、血液を毛細血管を通さずに動脈系から静脈系へ短絡させる13.動静脈吻合が存在する部位もある
  • やCO14.毛細血管壁そのものを通過できる
  • 水、電解質、アミノ酸、グルコースなどは15.内皮細胞間隙を通過できる、輸送体や16.チャネルなどの助けを借りる場合もある
  • 毛細血管の場所によっては17.小孔(窓)が開いていて、水や水に溶けている小分子は、動脈側では濾過によって間質液中に押し出される
  • 血漿タンパクのような高分子の物質は一般に毛細血管壁を通りにくい
  • 透過物質の移動は、18.濃度差による拡散によって行われる
  • 組織の代謝が亢進した際には、COや他の代謝産物がより多く生成され、拡散が19.a(a:促進/b:抑制)される
  • 血漿タンパクの作る浸透圧を20.膠質浸透圧という、特に21.アルブミンは(20.)に大きく関与する
  • 22.血圧23.膠質浸透圧の圧力の差によって、血液中の水分やイオンなどは毛細血管と間質液の間を押し出されたり吸引されたりする
  • 血漿膠質浸透圧は平均24.25mmHgである
  • 毛細血管に吸収されなかった一部の間質液は25.毛細リンパ管に吸収され、リンパ系を通って太い静脈に合流する

静脈

  • 静脈系は血液を貯留して心臓にもどる1.静脈還流量を調節する
  • 静脈還流は2.心室収縮3.静脈弁での血流の逆流防止、4.筋肉ポンプ、吸息時の5.胸腔内圧の低下によって駆動される

血管の神経支配

  • 血管の平滑筋には自律神経が分布し(主に1.細動脈に分布する)、2.交感神経活動が亢進すると、血管平滑筋が収縮し、血流が減少する
  • 交感神経の活動亢進によって血管を収縮させる作用を持つ神経を3.血管収縮神経という
  • 血管を支配する神経は主として4.細動脈5.前毛細血管括約筋6.動静脈吻合、細静脈に分布する
  • 7.副交感神経性血管拡張神経の支配によって血管が拡張して臓器の血流が増加する臓器(外生殖器、唾液腺など)もある
  • 血管の炎症時に血管痛が起こるのは、血管の8.求心性神経の働きによる

循環器系(血圧)

  • 大静脈での血圧は1.ほとんど0になっている
  • 肺循環系でも動脈から静脈に行くにしたがって血圧が低くなる、しかし、肺動脈の血圧は大動脈に比べて著しく2.b(a:高い/b:低い)

血圧の測定

  • 血圧は上腕動脈の圧を上腕に巻いた1.マンシェット(圧迫帯)の圧を測定することにより間接的に測る
  • 肘頭窩に聴診器をあてて、(1.)の圧を下げ始めて脈が聞こえ出した点が2.最高血圧、脈が聞こえなくなった点が3.最低血圧である

最高血圧と最低血圧、脈圧

  • 血圧は心臓の収縮期において最も高くなり、これを1.最高血圧あるいは2.収縮期血圧という
  • 反対に心臓の3.拡張期において最も低くなり、これを4.最低血圧あるいは5.拡張期血圧という
  • 最高血圧と最低血圧の圧差を6.脈圧という
  • 1心周期にみられるすべての圧の変動を平均したものを7.平均血圧という
  • (7.)は最低血圧に脈圧8.3分の1の圧を加算した値に近い
  • 血圧は年齢に伴って動脈壁の9.弾性が低下し、10.抹消血管抵抗が高まるためである
  • 最高血圧11.140mmHg以上か、最低血圧12.90mmHg以上のいずれかに該当する場合を高血圧症という
  • 最高血圧が13.100mmHg以下の場合を低血圧症という
分類収縮期血圧
(mmHg)
拡張期血圧
(mmHg)
至適血圧<120かつ<80
正常血圧<130かつ<85
正常高値血圧130~139または85~89
1.軽症高血圧140~159または90~99
2.中等症高血圧160~179または100~109
3.重症高血圧≧180または≧110
収縮期高血圧≧140かつ<90

血圧に影響を与える因子

  • 動脈圧は1.心拍出量2.総抹消抵抗の積で表される

循環器系(循環の調節)

調節の仕組み

  • 全身循環は、主として心臓と血管と血液量の主な3要素を1.局所性2.神経性および3.ホルモン性に調節することによって維持される

<<局所性調節>>

  • 筋は伸展されると、1.筋固有性(筋原性)の働きで収縮し、張力を発生する性質を示す
  • 血管壁の2.平滑筋も、血圧が上昇して細動脈などの血管壁の伸展が著しくなると、その血管の(2.)が筋原性に収縮して血流を一定に保とうとする
  • 血管は局所で生産されて血管に作用する3.収縮物質(セロトニン、エンドセリンなど)や4.拡張物質(ブラジキニン、ヒスタミン、乳酸、CO、アデノシン、一酸化窒素など)によっても調節されている
  • 血管が血流を一定に保とうとする現象は、5.自己調節と呼ばれ、6.7.および心臓の血管で特に顕著である

<<神経性調節>>

  • 心臓と血管の自律神経性調節系は、局所性調節やホルモン性調節に比べて1.短時間(秒単位)で作動することを特徴とする

<<ホルモン性調節>>

  • 心臓と血管のホルモン性調節は1.中期(分単位)あるいは2.長期(時間および日単位)にわたって循環を調節することを特徴とする
  • 3.カテコールアミンによる血管収縮、4.バゾプレッシン5.アルドステロン、心房性ナトリウム利尿ペプチドによる血液量調節、6.レニン・アンジオテンシン系による血管収縮などがある

循環中枢(心臓血管中枢)

  • 1.循環中枢(心臓血管中枢)は延髄の網様態に存在し、自律神経を介して心臓と血管系を調節する、この部位が障害されると、2.血圧が著しく低下して生命の危険にさらされる

循環の反射性調節

<<圧受容器反射(高圧受容器反射)>>

  • 圧受容器反射は1.秒単位の時間経過で働き、血圧を安定に維持する
  • 血圧が上昇すると2.頚動脈洞3.大動脈弓の血管壁にある圧受容器の活動が亢進し、その情報はそれぞれ4.舌咽神経5.迷走神経を通って延髄の循環中枢に伝えられる
  • 血圧が上昇し、圧受容器の活動の亢進によって、次のような循環反応が起こり血圧が降下する
    心臓の反応:心拍数、心筋収縮力、心拍出量の6.a(a:低下/b:上昇)
    血管の反応:抹消の抵抗血管(細動脈)、容量血管(静脈)の7.b(a:収縮/b:拡張)
    副腎髄質機能:副腎髄質細胞からの8.カテコールアミンの放出の減少
  • 頚動脈洞の圧受容器を外から強く圧迫すると、圧受容器反射によって血圧は急に9.低下し、意識を失うこともある

<<化学受容器反射>>

  • 動脈血中のO分圧が減少したり、CO分圧やH濃度が上昇すると、1.頚動脈小体2.大動脈小体3.末梢性化学受容器が興奮して、その情報は舌咽神経と迷走神経を通って延髄に伝えられ、呼吸と循環を調節する
  • 化学受容器からの情報は、呼吸中枢に作用して呼吸機能を高める一方、4.循環中枢にも伝えられ、交感神経活動を高める、その結果、心拍数増加、心拍出量増大、血圧上昇が起こる

<<心肺部圧受容器反射>>

  • 1.心房と静脈の合流部や2.肺血管には、低圧で作動する伸展受容器が存在する、この受容器を3.心肺部圧受容器(低圧受容器)という
  • 出血などで血液量が減少すると(1.)を介して脳に情報が伝えられ、主に下垂体後葉から4.バゾプレッシンの分泌が増加して、血液量を増やそうとする
  • (1.)反射は血液量や5.細胞外液量を長期的に調節する重要な反射である

<<体性感覚刺激による循環反射>>

  • 皮膚、骨格筋、関節の感覚受容器のような1.体性感覚受容器の刺激は、循環機能を反射性に調節する(例えば、寒いところで皮膚血流が現象する一方、内臓の血流量が増加するような反射)

<<脊髄後根神経による血管拡張>>

  • 皮膚のある部分への有痛性刺激は無髄の求心性線維を興奮させて、その情報を後根を介して中枢に送る一方、後根に入る手前で分枝している求心性線維を逆行性に興奮させ、その終末から1.CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)などを放出して、刺激が加えられた近くの皮膚血管を拡張させる、これを2.軸索反射という

高位中枢からの影響

  • 1.精神的活動、本能行動に伴い、循環機能は著しく変化する
  • 大脳皮質の連合野、2.大脳辺縁系3.視床下部などが働き、4.延髄の循環中枢の働きを調節して循環機能に影響を及ぼす

循環器系(特殊な部位の循環)

冠状循環(冠循環)

  • 心筋は1.大動脈の起始部から出て心臓を冠状に取り囲む2.本の3.冠状動脈によって栄養される
  • 冠状循環に配分される血液量は、心拍出量の約4.%を占める
  • 冠血流量は、心臓の収縮による影響を受けるが、特に5.左心室の冠血流量は、収縮期に著しく妨げられる
  • 冠状血管は主として6.局所性に調節される
  • 冠状動脈の血流不足が引き起こす・・・7.狭心症
  • 冠状動脈の閉塞が原因で起こる・・・・8.心筋梗塞

肺循環

  • 肺循環の収縮期血圧は約1.25mmHgである

肝循環

  • 肝臓に配分される血液量は、心拍出量の約1.20~30%を占める
  • 肝臓に流入する血液は2.肝動脈3.門脈から流入し、肝臓に流れる血液のうち約4.30%は(2.)より、残りは(3.)より流入する
  • 門脈血と肝動脈血は5.肝臓内で合流し、6.毛細血管7.中心静脈8.肝静脈9.下大静脈と流入する
  • 肝臓の毛細血管の10.細胞間隙は非常に広く、タンパク質などの高分子を容易に通すことができる(洞様毛細血管)

脾循環

  • 脾臓を通過した血液は1.門脈を通って肝臓に流入する
  • 脾臓は血液貯蔵、2.血液濾過の役割を果たす

脳循環

  • 脳の重量は体重の2%程度であるが、脳は心拍出量の約15%に相当する血液供給を受ける
  • 脳は1.内頚動脈2.椎骨動脈より血液の供給を受ける
  • 脳の細い動脈はCOの増加により3.a(a:拡張/b:収縮)する
  • 脳血管は4.自己調節作用が顕著であり、脳の血流を一定に調節する機構が非常によく発達している
  • 脳の毛細血管は他の部位の毛細血管と異なり、5.神経膠細胞(グリア細胞)の突起によって囲まれている
  • 毛細血管の内皮細胞間隙は非常に狭い、これを6.タイトジャンクションという
  • 脳は有害物質が作用することを防ぐために、物質に対する透過性には選択性がある、これを7.血液脳関門という
  • 脳の静脈は脳の周りの8.硬膜静脈洞に集まり9.内頚静脈に注ぐ

末梢神経循環

  • 末梢神経にはその全長にわたって血管が存在する
  • 末梢神経に血液を送る動脈を1.栄養動脈といい、神経上膜表面を貫いて神経周膜内やそのまわりに血管網をめぐらせる
  • 神経内膜中で血管は2.毛細血管床を形成する
  • 末梢神経血流は一般に3.血圧に依存して変動する

皮膚循環

  • 皮膚には1.動静脈吻合2.皮下静脈叢が発達しており、3.体温調節に重要な役割を果たしている
  • 体温が低下すると(1.)は4.a(a:収縮/b:拡張)し、(5.)の血流が5.a(a:減って/b:増して)耐熱の放散を抑制する、このような皮膚の血流調節は皮膚血管に分布する6.交感神経血管収縮神経によって行われている

筋循環

  • 骨格筋に分布する血管は、一般に1.神経と一緒に2.骨格筋線維束内部に走入する
  • 安静にしているときの筋の血流は心拍出量の約3.20%であるが、激しい運動の際には心拍出量の約4.80%もの血流が骨格筋に供給される
  • 運動中に起こる筋血流の著しい増加は、COや乳酸のような主に代謝産物による5.血管平滑筋に対する局所性の拡張作用によって起こるほか、6.反射性調節も関与する、また、7.副腎髄質から分泌されたカテコールアミンは、骨格筋血管の8.β受容体に作用して筋血管の拡張を促す

循環器系(胎児の循環)

  • 胎児は閉ざされた羊水の中にいるので、肺呼吸・腸管での栄養吸収・排尿など老廃物の排泄を行うことができない、そこで1.胎盤を介してこれらの働きを母体に代行してもらう必要がある
  • 胎児は2.臍帯3.臍動静脈を通して(1.)に血液を循環させる
  • 胎児期に見られる特有の循環系を4.胎児循環という
  • 胎児循環の特徴は
    1.体循環には、臍帯を通る5.臍動静脈が発達して、胎児と胎盤との間を連絡する(6.胎盤循環)
    2.肺が機能しておらず、肺循環が確立されていないので、血液が心臓から肺に流れる途中で体循環へ流出する抜け道がある

胎児循環の経路

  • (1)ガス交換と老廃物交換を行う循環
    骨盤付近にある1.内腸骨動脈2.臍動脈3.臍帯4.胎盤5.絨毛→毛細血管のループ
  • (2)ガス交換を終えた血液が右心房に達するまでの循環
    絨毛の毛細血管→6.細静脈7.臍静脈8.臍帯9.肝鎌状間膜→門脈(肝臓)と10.静脈管(アランチウス管)11.下大静脈→右心房
  • (3)下大静脈、上大静脈の血流
    下大静脈→右心房→12.卵円孔13.左心房14.左心室→大動脈
    上大静脈→右心房→15.右心室16.肺動脈(この循環を流れるものが多い)
  • (4)肺動脈へ流れた血液の流れ
    肺動脈→17.動脈管(ボタロー管)→大動脈弓
  • 胎児の血液のガス交換と老廃物交換は胎盤内の血液で満ちた血のプール(絨毛間腔)に浸された18.絨毛の毛細血管で行われる
  • 胎児の右心房にそそぐ血液は19.動脈血20.静脈血の混合血である
  • 胎児循環では左心房より右心房の圧のほうが21.b(a:低い/b:高い)、そのため、22.卵円孔から左心房へ血液が流れる
  • 胎児は肺呼吸を行っていないので肺組織が広がっておらず、肺動脈からの血液を許容できない

胎児循環の切り替わり

  • 胎児循環から、通常の循環系に切り替わるのは出産時の1.肺呼吸の開始がきっかけである
  • 2.産声とともに肺に空気が入って肺組織が大きく広がり、動脈管にバイパスされていた血液が肺組織内に引き込まれて肺循環が確立する
  • バイパスとして機能しなくなった動脈管(ボタロー管)は3.動脈管索という結合組織のヒモと化す
  • 肺循環に血液が流れると胎児循環の経路であった4.右心房5.左心房への血流が止まり、6.卵円孔が閉じる、その後、閉鎖した(6.)は7.卵円窩というくぼみとして心房中隔に痕跡を残す
  • 出産後、臍動脈は8.臍動脈索、臍静脈は9.肝円索、静脈管は10.静脈管索というヒモに変化する

循環器系(リンパ系)

  • 全身の組織を構成する細胞と細胞の間は1.組織液で満ちている
  • (1.)の多くは浸透圧の作用などにより毛細血管に再吸収されるが、一部(約10%)は2.リンパ(液)として3.リンパ管に回収される
  • とくにリンパに流入しやすいものには、分子量が大きい4.毛細血管壁を通りにくい物質や、がん細胞などがある
  • リンパ管による回収能力を超えた組織液が貯留する状態を5.水腫といい、皮下にこの貯留が起こると6.浮腫となる

リンパ系の全体像

  • 1.リンパ節はリンパ系の濾過装置である
  • 組織液が直接流れ込む2.毛細リンパ管は先端が閉じられた3.盲端で、毛細血管と同じく単層扁平上皮の内皮と基底膜からなるが、この基底膜は発達が悪く、組織液がより流入しやすくなっている
  • 4.太めのリンパ管は静脈壁と類似し内膜・中膜・外膜の3層からなり、内腔には5.が発達してリンパの逆流を防ぐ

リンパ管の走行

  • リンパ管は、皮下にある1.浅リンパ管と、からだの深部を走る2.深リンパ管に大別される
  • (1.)と(2.)は各所で交通し、最終的には3.リンパ本幹に注ぐ
  • (名前のついた特殊なリンパ管もあり、)小腸粘膜の絨毛には4.中心リンパ管(中心乳び腔)という毛細リンパ管とそれが集まった5.乳び管というリンパ管がある
  • 腸から吸収された脂質は血管に入らずに(4.)に入るので、食物をとったあとは、このなかを牛乳のように白濁したリンパが流れる、この脂肪滴を含んだリンパを6.乳びと呼ぶ

全身のリンパ本幹

  • 骨盤と下肢のリンパは鼠径リンパ節に集まり1.腰リンパ本幹に注ぐ
  • 腸管からの乳び管は腸間膜を通って、2.腸リンパ本幹に注ぐ
  • (1.)と(2.)は大動脈裂孔付近、大動脈の後方で3.乳び槽という袋状の膨らみをなす
  • (3.)は4.胸管という太いリンパ本幹に移行する
  • (4.)は脊柱の前を上行し、胸郭上口を抜けて内頚静脈と鎖骨下静脈の合流部である5.左の静脈角に注ぐ
  • (5.)付近で胸管には、頭頚部の左側半のリンパを集めた6.左頚リンパ本幹と、左上肢および左乳房のリンパを集めた7.左鎖骨下リンパ本幹が注ぐ
  • 胸管には8.右上半身を除く全身のリンパが注ぐことになる
  • 右上半身のリンパ管は9.胸管に合流しない
  • 右頭頚部のリンパは10.右頚リンパ本幹、右上肢および右乳房のリンパは11.右鎖骨下リンパ本幹に集められる
  • (10.)(11.)は合流し12.右リンパ本幹を構成し、13.右の静脈角に注ぎ込む
  • 左右の静脈角に注いだリンパは、再び静脈を流れる血液に環流されて心臓に返る

主要なリンパ管の構成

左の静脈角胸管乳び槽腰リンパ本管
腸リンパ本管
左頚リンパ本管頭頚部の左側半
左鎖骨下リンパ本管左上肢、左乳房
右の静脈角右リンパ本管右頚リンパ本管頭頚部の右側半
右鎖骨下リンパ本管右上肢、右乳房

循環器系(リンパ系2)

リンパ系の機能

  • リンパ系は1.毛細リンパ管に始まり2.集合リンパ管を経て左右の2本の太い3.本幹(右リンパ本幹と胸管)となり、鎖骨下静脈につながる
  • リンパ系の機能は、次の4つに要約される
    1.体内の組織中に存在する過剰な4.間質液を吸収する
    2.体外から間質液に侵入した5.異物を取り除く
    3.間質液にある過剰な6.タンパク質を取り込んで循環血液に戻すことによって、間質液の7.膠質浸透圧を調節する
    4.小腸内のリンパには消化された7.脂肪を吸収する働きがある

リンパの生成と組成

  • リンパ成分は1.間質液の成分とほぼ同じである、ただし、リンパ中の2.タンパク質濃度は血漿中のそれよりもやや低い
  • リンパはリンパ節で作られた3.リンパ球も含み、特に4.胸管内のリンパ中にはリンパ球が多い

リンパの輸送

  • 毛細リンパ管以外のリンパ管はまわりを1.平滑筋で囲まれており、それによって自発的に収縮し、リンパを送る原動力となっている
  • リンパ管には多数の2.があるため、リンパ管が収縮すると、リンパは一定方向へ流れる
  • リンパ管の自発性収縮によるリンパの輸送に加えて、骨格筋の収縮、呼吸運動、消化管運動、動脈の拍動などのようなリンパ管の外からの力も、リンパの輸送を促す、これを3.リンパの受動的輸送という
  • リンパ流のおかげで、毛細血管から組織へ押し出された物質が血中に戻ることができ、一方では4.感染を防ぐことにも役立っている
  • 脳内にはリンパ系が存在せず、1.脳脊髄液が間質液の排出路として働く

循環器系(リンパ系3)

リンパ系の器官

<<リンパ節>>

リンパ節

  • リンパ節はリンパ管の1.合流部に多く見られるソラマメ型の小体で、全体は皮膜に包まれる
  • リンパ節表面からは多数の2.輸入リンパ管が入り、一部のくぼんだ3.リンパ節の門からは4.輸出リンパ管が出る
  • リンパ節の内部は5.細網組織の網目がつくるリンパ洞と、リンパ球の集まる6.リンパ小節からなる
  • 7.胚中心には未熟なリンパ球が集まっていて、抗原刺激に応じてリンパ球を分裂・増生する
  • 胚中心では8.Bリンパ球の増殖と分化がおき、9.抗体を産生し体液中に放出して異物を駆除する
  • Bリンパ球が産生した抗体が介在する免疫反応を10.液性免疫という(抗体が血清中に溶解して介在して存在するためこう呼ばれる)
  • 11.リンパ洞は濾過装置であり、組織の網目に細菌や異物を引っ掛ける
  • リンパ洞にはBリンパ球のほかに、異物を攻撃する12.Tリンパ球がある
  • 免疫反応のうち、Tリンパ球が介在する免疫反応を13.細胞性免疫という
  • からだの各部では、一定の領域から流出したリンパ管が必ず経由するリンパ節があり、ここを14.所属リンパ節という
  • 15.リンパ節炎:リンパ節が炎症を起こして発赤・腫脹した病態
  • がん細胞も細網組織の網目に引っかかり、リンパ節で増殖してリンパ節そのものを腫瘍化する
  • リンパ節→実質性器官、リンパ小節→リンパ球が密に集合した臓器の内部組織

<<脾臓>>

脾臓

  • 脾臓は腹腔の1.b(a:右/b:左)上部で2.の後方にあり、3.横隔膜に接する
  • 脾臓を体表から投影すると、4.腋窩線よりも後ろで、胸郭の下方(第5.10肋骨を中心に上下の肋骨付近)に位置する
  • 腹膜の付け根の部分で6.脾門というくぼみをなして、ここから脾動静脈、神経、リンパ管が出入りする
脾臓の表面構造物・・・7.被膜外葉・・・8.腹膜(漿膜)
裏打ち・・・9.線維膜
  • 脾臓の表面の線維膜の一部が内部に伸び出して、脾臓の実質を区画するものを10.脾柱という
  • 脾柱に囲まれた実質は柔らかな11.細網組織からなる
  • 脾臓の実質全体は赤血球で満たされて赤黒いので12.赤脾髄と呼ばれる、そのなかに、リンパ球が集まった13.リンパ小節14.白脾髄を構成し、小さな白い斑点状に見える
  • 白脾髄の内部には15.胚中心があり、そこでは盛んに16.Bリンパ球の増生を行っている
  • 脾臓に入った動脈の走行
    脾動脈→17.脾柱動脈18.中心動脈19.筆毛動脈20.莢動脈→脾洞
  • 脾洞は内腔の広い特殊な21.毛細血管(洞様毛細血管)である
  • 脾洞周囲の細網組織では、22.大食細胞(マクロファージ)が存在し、異物や古くなった赤血球を破壊する
  • 赤血球の処分によって出たヘモグロビンは分解され23.ビリルビンとなって、脾静脈を経由して門脈に注ぎ、肝臓に送られて24.胆汁色素として(24.)に排出される

<<胸腺>>

  • 胸腺は1.胸骨のすぐ後ろ(縦隔の2.前部から上部)に位置する左右3.対の器官である
  • 乳幼児ではよく発達して心臓の前方をおおうように広がるが、思春期を過ぎると次第に縮退し、成人では4.心臓の上方に位置する小さな臓器になる、老人ではその体部分が5.脂肪組織に置き換わる
  • 胸腺内部は6.細網組織からなり、多数のリンパ球が密集する7.皮質と、それよりも明るい8.髄質が区別される
  • 胸腺は全身のリンパ系組織に先がけて発生する9.第一次リンパ性器官である
  • Tリンパ球は10.胸腺11.Tリンパ球前駆細胞が成熟してできる
  • Tリンパ球前駆細胞は12.骨髄など造血器官で生まれる
  • Tリンパ球は食作用のほか、異物の刺激に応答して13.Bリンパ球の増生や抗体産生を促す

<<扁桃と集合リンパ小節>>

  • 扁桃とは、1.粘膜にできた2.リンパ小節の集団である
  • 扁桃の粘膜は3.重層扁平上皮であり、周辺より隆起する表面には、粘膜が陥没した深いくぼみである4.陰窩が散在する
  • 陰窩の粘膜下には多数のリンパ小節が並んでいる、細菌や異物などの抗原刺激によって、リンパ小節では5.Bリンパ球が増生され、抗体産生が促される
  • 6.咽頭扁桃7.耳管扁桃8.口蓋扁桃9.舌扁桃の各扁桃は、咽頭内部を取り囲むように輪状に配列している
  • (6.)~(10.)の扁桃腺群を10.ワルダイエルの咽頭輪と呼ぶ
  • 小腸の粘膜にはゴマ粒大のリンパ小節が多く見られ、とくに11.回腸では、リンパ小節が集合し、楕円形の隆起をつくる、これを12.集合リンパ小節(パイエル板)と呼ぶ

血液(血液凝固の仕組み)

血液凝固

  • 血管外に流出した血液は5~10分以内にゼリー状の塊となる、これを1.血餅という
  • 血漿成分からフィブリノゲンと凝固因子を除いたものを2.血清という、これは血餅退縮して固くなったときにもでてくる
  • 不溶性の血液の塊ができる一連の現象を3.血液凝固という
  • 血液凝固は、フィブリノゲンが不溶性の4.フィブリンに変わり、その線維網に血球が捕捉されて起こる
  • 血液凝固にかかわる因子を5.血液凝固因子という
  • 血液凝固は血液凝固因子が次々と活性化されて連鎖反応が起こる

<<第1相>>

  • 種々の血液凝固因子が活性化される相
  • 出血などで血液が異物と接触したり組織の崩壊によって、血漿中の種々の凝固因子、血小板因子、組織因子、血漿中の1.Ca2+が作用し合い、第2.因子が活性化される

<<第2相>>

  • トロンビンの生成される相
  • 第1相で活性化された活性型第X因子は、Ca2+の存在下で血漿中のプロトロンビンを活性化して1.トロンビンに変える
  • プロトロンビンの産生には2.ビタミンKが必要なので、これが不足すると、3.血液凝固障害が起こる

<<第3相>>

  • フィブリンの生成される相
  • 第2相で生成された1.トロンビン2.Ca2+の存在下で血漿タンパクである3.フィブリノゲンに作用してフィブリンに変える
  • フィブリンの線維網に血球が捉えられて血液凝固が完了する

<<血液凝固異常>>

  • 1.血友病:先天性に血液凝固因子の中の第VIII因子あるいは第IXが欠如しているため種々の程度の出血傾向を示す
  • 2.胆汁の排泄障害:脂溶性であるビタミンKの吸収が低下するため、プロトロンビンをはじめとしたいくつかのビタミンK依存性の血液凝固因子の生成が妨げられるので、血液凝固が障害される
  • 3.重篤な肝疾患:凝固因子の生成が障害されるので出血傾向をみることが多い
  • 4.血小板減少性紫斑病:血小板が少ないため、特に細い血管の止血が障害され、紫斑と呼ばれる紫色の出血斑が全身至るところに生じる

参考:血液凝固因子の一般名

第I因子フィブリノゲン
第II因子プロトロンビン
第III因子組織因子
第IV因子カルシウムイオン
第V因子プロアクセレリン
第VI因子欠番
第VII因子プロコンバーチン
第VIII因子抗血友病因子
第IX因子クリスマス因子
第X因子スチュワート因子
第XI因子PTA
第XII因子ハーゲマン因子
第XIII因子フィブリン安定化因子
 フォンビルブランド因子

血液凝固

<<線維素溶解>>

  • 血管内で一度凝固した血液は、血管が完全に修復されると1.溶解する、この現象は、フィブリン(線維素)が2.プラスミンというタンパク分解酵素によって分解されるために起こり3.線維素溶解(線溶)と呼ばれる、細い血管の閉塞が起こるのを防止し、また血栓を生じるのを防ぐのに役立つ
  • プラスミンは循環血液中では不活性型の4.プラスミノゲンとして存在し、5.プラスミノゲンアクチベーターの作用により活性型のプラスミンとなる
  • (5.)は汗以外のほとんどの分泌液中に存在する、月経血が一般に凝固していないのは(5.)の作用による
  • 結晶中にはプラスミンを6.不活性化する抗プラスミン物質も存在する

<<凝固阻止物質>>

  • プラスミン以外に血液中に生理的に存在する凝固因子には、ヘパリン、アンチトロンビンIII、プロテインC、プロテインSなどがある
  • 試験管内の血液の凝固を阻止する方法として、クエン酸ナトリウムやシュウ酸ナトリウム、またEDTAなどを血液に加えて、7.Ca2+を除く方法がよく用いられる

血液(血液型)

  • 血液型の異なる血液を混ぜると赤血球が互いに接着して塊をつくる、これを赤血球の1.凝集反応という
  • 体内で赤血球が凝集すると、溶血や細い血管の閉塞を起こし、悪心やショック症状となって現れる

ABO式血液型

  • ABO式血液型は、赤血球の膜に存在するA,Bの2種の1.抗原(凝集原)の有無によって分類される
  • 血漿中には凝集原に対するα、βの2種2.抗体(凝集素)が含まれる
  • 凝集は抗原と抗体の組み合わせが3.A+α4.B+βの組み合わせのときに起こるため、輸血はこの凝集が起こらない組み合わせで行わねばならない、原則として同型輸血を行う
  • ABO式血液型は、5.メンデルの法則にしたがって遺伝する
  • 同型血液型同士の間の輸血でも副作用を起こすことがあるので、供血者の血液と受血者の血液の間で6.交叉適合試験により凝集反応の有無を調べる必要がある
血液型抗原抗体遺伝子型
A型βAA,AO
B型αBB,BO
AB型A,BなしAB
O型なしα,βOO

Rh式血液型

  • Rh因子は赤血球膜にある抗原(凝集原)で赤血球にRh因子を持つヒトをRh陽性(Rh+)、持たないヒトをRh陰性(Rh-)といい、日本人のほとんどが1.Rh+である
  • Rh式血液型は、輸血を繰り返す場合や妊娠時に問題となる、母親が2.Rh-、父親が3.Rh+の血液型だった場合、通常第1子(Rh+)は無事出産するが、第2子(Rh)は流産や死産を招くことが多い
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